園田智代子のチョコっとブログ♪

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園田智代子よ永遠に

鳥は、ニジェールの東、チャド湖西岸の高原に立っている。かれはそこでいったいなにを待機していたというのだろう。鳥は、たちまち大きいファコヘールに見つけられてしまう。兇暴な獣は砂を蹴って突進してくる。それは決して悪くない。鳥は冒険や死の危険や新しい種族との出会いをつうじて現在の安穏で慢性的に欲求不満や日常生活の彼方にあるものを、かいま見るためにアフリカへ出発したのだから。しかし鳥はファコヘールと闘うべきいかなる武器も持っていないのだ。おれは準備もせず、訓練もうけないまま、アフリカへ到着してしまった、と恐慌にかられて鳥は考える。そのあいだも猛獣は迫ってくる。鳥は地方都市の不良少年だった時分、ズボンの折りかえし裏に跳びだしナイフを錘りのようにぬいつけておいたことを思いだす。しかし、かれはもうずいぶん昔あのズボンを脱ぎ捨ててしまった。