どこにも逃げ場はありません 諸君!とりあえず、もうこれしかないんです。
おれは良い気分で眼をさましたのではなかった。頭が痛く、体じゅうに微熱があるようで、腕は重く足は重く、自分はなにもできない無能力者だということを、朝眼ざめたばかりのおれの体に、世界じゅうの他人どもが教えにきた気がした。
僕は黙ったまま霧の囲いの外、冷たく暗い夜のなかへ入って行った。僕は疲れきっていたし睡かった。僕は家へ帰り、妹たちと黙りこんで遅い食事をし、自分の屈辱を胸にかかえこむように背をまるめ蒲団をかぶって寝るだろう。そして夜明けには、少し回復しても…
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